¥8,404
●店頭で展開していた特集から、おすすめのタイトルをセットにしています
店頭特集:本の中の街へ
特集期間:2022年10月3日〜10月23日
・路地裏の子供たち/スチュアート・タイベック 柴田元幸 訳(白水社)
・ブルックリン・フォーリーズ/ポール・オースター 柴田元幸 訳(新潮社)
・百年の散歩/多和田葉子(新潮社)
・見えない都市/イタロ・カルヴィーノ 米川良夫 訳(河出書房新社)
・パリ東西南北/ブレーズ・サンドラール 昼間賢 訳(月曜社)
〈本の紹介〉
●路地裏の子供たち
舞台は作者の故郷であるシカゴ。生まれ育った場所に抱く感情はきっと人それぞれですが、うらぶれた路地裏にもワクワクやきらめきを感じられた頃が誰にもあったはず。貧しい労働者や移民たちが住む街で生きる子供たちを描いたこの短編集はそんな叙情性で満ちています。
●ブルックリン・フォーリーズ
60歳目前で離婚、仕事も辞め家も売った主人公。彼の人生は、甥との再会によって思わぬ方向に進んでいきます。「何歳になっても人は成長し、誰かのために生きることができる」というメッセージが、気取らないブルックリンの雰囲気とあいまって、読者をゆるく前向きな気持ちにさせてくれます。
●百年の散歩
異国の地を歩くと、目に映るもの全てが新鮮で楽しいですよね。本書では観光の街歩きとは一味違う、著者のベルリン歩きが綴られています。実在する10の通りと広場で、歴史の声に耳を澄まし、景色に夢想を重ねる短編の連作。読みながら不思議な世界を漂う感覚を味わえます。
●見えない都市
マルコ・ポーロといえば、中世時代に欧州からアジアまで大冒険をした歴史上の人物。
この本は、彼が旅先で目にした空想都市の奇妙で不思議な様子を皇帝に報告する、という形式のフィクションです。読み終えたら、ぜひ実際の旅行記である『東方見聞録』にもトライしてみては。
●パリ南西東北
フランスの国民的写真家ロベール・ドアノーと、フランスに帰化したスイス人小説家のブレーズ・サンドラール。ふたりの邂逅が生んだ写真集『パリ郊外』、その序文にあたるのがこちらの文章です。新しい時代の到来で消えつつある古い街並み、そこにある人々の生々しい営みに胸が熱くなります。
「本の中の街へ」
「ある街」が印象的に描かれている本に出会うことがあります。
現実にある街だったり、架空の街だったりいろいろです。
読んでいるあいだは、自分がそこを徘徊するような気分になります。
登場人物と会話を交わすことはできないですが、背中合わせに、すれ違い生きているように感じます。
わたしたちは現実世界で、二つの場所を同時に生きることはできません。
そして、離れた誰かを信じようとしたり、誰かに自分を感じてもらいたく思っています。
そんなときの想像力と、本のなかの街を歩くことはよく似ています。
遠い世界といまここが繋がっているということ。